こんにちは、凡才博士です。今年度から私も科研費の若手にありがたいことに当たりまして、4月から科研費の研究テーマをスタートさせました。2月末の採否結果の発表からどんな手続きが必要なんだろうと気にしていましたが、実際に手続きに動き始めるのは4月からでした。今回は今後のためにも、手続きを忘れないために簡単にまとめとこうと思います。
令和5(2023)年度の採択時のまとめは以下の記事です。
科研費が採択されて4月になる前にまずやる事
2月末に採否結果が発表されるわけですが、採択されてすぐに行う手続きがあります。まずは、「審査委員候補者情報」に自分を登録しましょう。次は自分が科研費の審査委員になる番です。
審査員への登録は電子申請システムの「交付内定・決定後の手続」から登録するように催促されます。
クリックしますと、赤字でまずは審査員へ登録しろと催促されますので、画面の内容に従って登録していくだけです。自分の審査できる区分やこれまでの研究経歴を書く必要がありますので、意外と時間がかかってしまいます。
採択されてまず行う手続きは実はこれだけです。新年度が始まるまで学振からは何の連絡もありません。この情報さえ登録したら後は4月まで待つだけです。かといって4月に猛烈な事務処理があるという訳でもないです。特に4月の受け入れ手続きに事前に準備する必要もありませんので、事前に科研費の実験内容を進めたい方はフライングして研究してしまいましょう!
4月の新年度が始まってやらないといけない事
4月になって新年度が始まると、まず学振側から連絡が来ます。連絡が来ると言っても我々研究者に直接メールが来るわけではありません。科研費の申請書を出した時もそうですが、まずは所属機関に学振から連絡が来ます。
所属機関宛てに学振から「科研費始まったけどどうする?」といった感じで連絡が来ますので、まずは所属機関のスタッフが手続きを始めます。簡単に状況を示すと「所属機関受付中」みたいな感じですね。
じゃあスタッフはなんの手続きをしてるの?と疑問になりますが、実は私もよく分かりません。恐らく所属機関スタッフ用の手続きのしおりをよく読めば書いてあると思いますが、我々研究者には知らなくても良い事でしょう。恐らく予算とか直接経費・間接経費・研究者の情報登録とかざっくりこんな感じでしょう。
大学のスタッフ側で手続きが終わりましたら、今度は研究者側に事務作業が下りてきます。「交付申請書」の作成が4月に入ってまずやる事です。
科研費の交付申請書を作成しよう
恐らく大学のスタッフから「交付申請書の手続きをお願いします~」といった趣旨のメールが来ると思います。そうすると、「交付内定・決定後の手続き」がクリックできるようになっています。ここからは、実際に画面を見ながら手続きの流れを追っていきましょう。
確認および誓約すべき事項を確認してチェック
上記の「手続きを行う」ボタンをクリックすると、交付申請の手続きが開始します。
「研究不正は許しませんよ~」とか「研究費は血税ですよ~」みたいな感じで守らなければいけない事を理解しているかチェックを求められます。結構気軽にチェックを付けられますが、重要な内容なので科研費交付前の契約書だと思って目は通しておきましょう。全体的に不正や倫理に反する事はダメだという事です。チェックして次に進むと採択された課題名が以下のように出てきます。
「状況」の欄が「交付申請情報入力」に変わっていますので、クリックして交付申請を進めましょう。クリックすると次のようなページに飛びます。
次は研究倫理についての確認事項です。研究倫理にそって研究を進めてくださいという事です。あと、科研費に通るような方は既に受講済みだと思いますが、研究倫理教育のe-ラーニングを受講しておきましょう。(学生時代にも受講する方もいますよね。)必要事項にチェックを入れて次へ進むと、ようやく予算交付の申請手続きに進みます。次へ進むと、以下のようなページになります。
登録情報確認と英語の課題名
ページが切り替わると、まずは自分の登録情報が出てきます。まず、間違えてないと思いますが一応確認しましょう。もし、ここで違っていたら登録情報を変更しないといけません。こちらは自分で直せないと思いますので、学振担当の教務課などのスタッフに連絡して修正してもらいましょう。
そのまま、スクロールしますと今回採択された研究課題名が出てきます。それと同時に英語版のタイトルを入力する欄があります。入力は任意なのですが、はやり何となく入力したいですよね。注意書きにもありますが、この英語版のタイトルもKAKENに公開されますので、あまり変なタイトルにするのはやめておきましょう。(KAKENについては以前の記事でもご紹介しております。)
「一時保存をして進む」を押すと次のページに移ります。
直接経費の内訳を決めよう
ページが移り変わると、とうとうお金の話になります。採択内定時に発表された直接経費が年度ごとに分けられているかと思います。
各年度ごとに直接経費の内訳を入力していきましょう。内訳はあくまで予定ですので、きっちり考えて入力しなくてもOKです。使いそうな項目があったら事前に振り分けておきましょう。
ここで、一つ注意点なのですが、年度ごとの予算額をここで変更する事はできません。採択時に出た年度ごとの内定額で既に予算が決定してしまっているのです。各年度の内定額に収まる所でやりくりするしかないという事です。(予算額を超えて内訳を入力しましたがエラーで次に進めなくなってしまいます。)
各年度の予算が足りない場合は、その年度になった際に繰り上げ申請を行う事で対応しましょう。(ただ、予算が増えるわけではないので次の年から前借しているだけです。)
次に、【バイアウト経費の内訳入力】の欄がありますが、関係ない方が多いと思いますのでスルーします。もちろん私はバイアウト経費の予定はありませんので入力していません。
次に、1年目に学振側に請求する予算を入力します。スクロールすると、以下のような画面が出てきます。
前期分と後期分の予算を分けて申請しましょうという事ですが、正直若手には関係ありません。注意書きにあるように「年度の予算が300万円未満の場合には全額前期分に計上」となっています。若手の直接経費なんで総額で350万程度ですので、初年度が300万円超える研究計画というのは稀でしょう。そのため、若手研究者はほとんどの方が前期分に内定額をそのまま入力すればOKです。
研究分担者の入力
次に進みますと、研究分担者の入力があります。
私のような若手の場合だとあまり研究分担者は入力する事は多くないかと思います。むしろ分担者として追加してもらう側の方が多いですよね。今回は科研費の若手が通った場合を想定していますので、申し訳ございませんが、分担研究者の入力は飛ばしていきたいと思います。
研究概要の入力
ここが最も時間がかかってしまう所です。まずはキーワードを5つぐらい考えましょう。キーワードに関しては比較的すぐに浮かんでくると思います。
ただし、このキーワードについては注意が必要です。なぜならこのキーワードはKAKENに公開されます。適当に好きな子の名前とかをキーワードに入れると、全世界に公開されてしまうので注意です。
次に研究目的をつらつら書いていきます。最大400文字程度しか書かないのですが、5回の改行チャンスを与えられています。こちらはKAKENに公開されません。比較的自由に書けますので、あまり気にせず埋める事にしましょう。
次に研究計画を最大1200文字記載します。こちらは字数が増えていますし、数年に渡る研究計画なのに改行が5回しか許されていません。
こちらに関しては正直、科研費申請書からほとんどコピペして字数をある程度整えるだけでOKです。これに関してもKAKENには公開されません。今後の研究構想を皆さんに見られては困りますから。誰にも見られないのでこちらも好きに書いてしまいましょう。
最後に研究の概要です。こちらはKAKENに公開されてしまうので、注意が必要です。特に特許を申請しようと考えている場合や、研究のアイディアを公開したくない場合は注意して書く必要があります。
この研究の概要ですが、実はKAKENで結構見られています。概要か年1回の報告書しか見る物が無いので、まずはじっくり概要を読んでしまいます。一番読まれるためしっかり戦略的に記載したいですね。
上記の内容は電子申請システムで直接入力するのより、Wordで入力した物をコピペするのが楽です。上記の入力事項は予算申請前から考えておくことが出来るので、事前にWordファイルで内容を練っておくとスムーズに記載できます。
交付申請書の確認
上記から先はほとんど入力する部分が無いので、次へ・次へと進めていくと「交付申請書」の確認画面まで行きます。この時点では90%は手続き完了です。
最後に自分が入力した内容に誤りが無いか、「交付申請書の確認」ボタンを押して作成されたPDFをダウンロードしましょう。科研費の申請時には何回もこのボタンを押して、申請書に問題が無いか確認したのを思い出しますね。
問題が無かったら「確認完了・送信」ボタンを押して次へ進んでいくと送信完了です。申請書と同様に確認完了したら、いきなり学振に送られるのではなく学内の担当者に送られるので、何か不備があれば恐らくそこからいったん差し戻しの連絡が来るはずです。
手続き前に流れを確認したい方には
新年度が始まって科研費の手続きをしたくてうずうずしている方には、とっておきのサイトがあります。そうです、以下に示します科研費電子申請システムの体験版です。
今回の手続きに関する画面はこちらの申請版から引用させて頂きました。(私は既に手続き済みで同じ画面が出てこなかったので)
スムーズ交付手続きを行うため、事前に手続きの詳細を勉強しておきたい方は是非体験版にアクセスして基盤Aの採択手続きでも体験してみてください。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。出来れば毎年科研費の採択手続きというものを体験してみたい物です。何か皆さんの参考になれば幸いです。
コメント