こんにちは、凡才博士です。早い物で桜も散り始めまして、既に葉桜が見え始めてきていますね。桜が散るという事で、今回は私の桜散る体験「育志賞」について紹介したいと思います。
結果から言うと、私自身は富と栄光に目がくらんで応募しましたが無事に落選しました。あくまで凡才には程遠い賞だったという訳です。私自身は落ちていますので、アドバイスする事は出来ませんが育志賞について紹介しますので、チャレンジする方は参考にしていただければ幸いです。
育志賞とは?
まずは育志賞について説明させて頂きたいと思います。学振の事は皆さん良くご存知かと思いますが、育志賞については知らない方もいるのではないでしょうか?実際に私も教授から育志賞に応募してみないか?と言われた時、「逝く師匠?先生、逝くんですか?これでブラックな研究ともおさらばですね!」位の感覚でした。正直、育志賞の概要を見るまで何が何だか分かりませんでした。そんな私と同じような方に向けて、簡単に説明できたらと思います。
育志賞は何かというものをそのままWebから抜粋させて頂きますと、
平成21年、上皇陛下の天皇御即位20年に当たり、日本学術振興会は、社会的に厳しい経済環境の中で、勉学や研究に励んでいる若手研究者を支援・奨励するための事業の資として、上皇陛下から御下賜金を賜りました。
日本学術振興会 育志賞の概要より
このような陛下のお気持ちを受けて、本会では、将来、我が国の学術研究の発展に寄与することが期待される優秀な大学院博士課程学生を顕彰することで、その勉学及び研究意欲を高め、若手研究者の養成を図ることを目的として、平成22年度に「日本学術振興会 育志賞」を創設しました。
簡単に要約しますと、「全国の博士課程の学生(*34 歳未満)の中で優秀な人を陛下が直接表彰します」という事になります。陛下が直接表彰していただけるなんて、かなり名誉な賞でありまさに博士課程の全学生の中のTop of Topです。この賞をもらってどのような特典があるか、私なりに考えていることを以下にまとめます。
天皇陛下もしくは上皇陛下に直接お会いできる
何となく芸能人に会えるかのような感覚でかなり嬉しいですよね。我々のような、一般平民の中のさらに半分ニートみたいな感じなのに陛下にお会いする機会を頂けるなんて身に余る光栄です。普通に直接会おうと思うと園遊会に参加できるような人間になるしかないですよね。園遊会に参加するためには、オリンピックで金メダルを取るとかノーベル賞を取るとか、人並外れた才能が無ければ参加できません。ノーベル賞取るのと、博士学生の一番になるのとどっちが楽でしょうか?陛下にお会いできるチャンスがあれば大体の方は会って少しだけ話してみたいですよね。なので私としては特典の一つになると考えています。
博士課程のTop of Topである称号
この育志賞は毎年度16名程度の博士課程学生が受賞されています。博士課程の学生は毎年応募するチャンスがある訳ですから、もし全国の博士が一斉に応募したら(平成30年データですと全国の博士課程は7万4千人)、受賞する確立としては0.0216%…倍率で表すと4,625倍…これこそまさにTop of Topの博士学生ですよね。学振ですら20%程は通る訳ですから。博士課程で頂ける賞の中で一番難しいのも納得です。この名声こそが育志賞の特典ではないでしょうか?
御下賜金
育志賞の受賞者には賞状、賞牌及び副賞として学業奨励金110万円が贈呈されます。そうです、私はこの110万円に目がくらんで応募しました。この副賞であるお金が正直一番うれしいですよね。育志賞の方も「社会的に厳しい経済環境の中で、勉学や研究に励んでいる若手研究者を支援」と銘打っていますので、一番支援になるのはやっぱりお金ですよね。この110万円が最も魅力的な特典だと私は思います。
育志賞の手続きについて
やはり合格までには至りませんでしたが、私の育志賞体験談をご紹介したいと思います。もし読んでいる方の中で育志賞に応募されるような優秀な方がおりましたら、当ブログがほんの少しだけ参考になれば幸いです。
・4月中旬
大学の教務課から指導教員に育志賞応募の案内が送られてきました。この募集を見た先生は私だけを呼び出し、「これに出すだけ出してみないか?」と私をやる気にさせます。研究室で学振は私だけだったため、まだ可能性があると思って呼ばれたのではないかと思います。恐らく学振は育志賞にとって必要条件なのでしょう。
・5月上旬
育志賞の提出締め切りは毎年5月の下旬~6月上旬です。学振とまでは行きませんが、また申請書を書かねばなりません。5月のGWに育志賞の書類を書き上げます。これでは去年の学振の申請書の時と全く変わりません。もっと早くから育志賞の準備をしておけばよかったと後悔しています。そもそも狙っていないので、皆さんほぼ案内が来てから書き始めると思いますが…
育志賞の申請書類は私が申請した際は以下の書類が必要でした。
- 推薦書
- 推薦理由書 A(研究指導者用)
- 推薦理由書 B
- 研究概要
学振よりか書類は大変ではないですが、異常なまでに推薦しすぎです。ここまで自分を褒め称えた事は人生でありません。研究内容は学振も書けますが、推薦書は正直恥ずかしくて中々自分で自分をほめる事は出来ません。以下に必要な書類について解説していきたいと思います。
推薦書
まずは推薦書からです、推薦書の1p目はフォーマット通りですので淡々と埋めていきます。研究・職歴等で学振があればここぞとばかりに記入しておきましょう。
問題は推薦機関です。選考基準は明らかになっていませんが、強い推薦機関から推薦された方が有利かと思います。後から気づきましたが、駅弁大学の学長の推薦では少し弱いですよね。可能であればこの育志賞の時期に各学会のWebをチェックしますと、育志賞の推薦機関になってあげてもいいよという学会が存在します。(もちろんその他の学生と推薦機関を奪い合う争奪戦に参加する事になりますが)そのような公的な規模の大きい学会を推薦機関に出来た場合は強いですよね。育志賞側としても既に厳選されて選ばれてきた学生であることが学会等の推薦機関によって分かります。なので推薦機関のお勧めとしては、有名大学でない場合は学会等をバックにつける事をお勧めいたします。
推薦書では一番最後にA4×2ページの推薦理由書を自分で書かねばいけません。推薦理由書の最初にも「研究内容のみならず研究に関連する多様な視点を含めて、候補者を推薦する理由を推薦者(大学長又は学会長)の立場から独自の観点で記載してください。」と書いてあります。あくまで推薦者の立場から記載してくださいとのことです。自分の推薦できる所を他人目線で書かないといけないという事ですよね。これがかなり恥ずかしい作業です、事実を書くのですが2千倍増しぐらいで良いことを書きます。申請書の最後には自分自身で、〇〇君を自信をもって推薦しますと自分で書きました。大体書いた内容は大したことないのですが、大枠で考えると「これまでの研究してきた理由・学業の成績・研究の態度・研究の業績・人物像」に分けて記載しました。枠としては皆さんこのようなものだと思いますが、たぶん内容が弱かったため落ちたのかと思います。
推薦理由書 A(研究指導者用)
今度は指導教員目線での推薦書です。大学の先生は忙しいので私のために推薦書は書いてくれません。こちらもあくまで自分で記入します。日々の私を良く知っているので、自分で書いた推薦書を先生に出すのが一番恥ずかしいですよね。内容もまた四苦八苦です。自分の推薦できることは全て前述の推薦書理由書に書いてしまったためです。ここも何とか別の目線から推薦書を書き上げました。ほぼ同じような内容なのですが、角度を変えて書いていった形です。
推薦理由書 B
また自分で推薦書を書かねばなりません。こちらは指導教員とはまた異なる先生を選びましょう。出来れば同じ大学内でなく他大学の偉い先生の方が推薦書パワーが大きと思います。良い点としては指導教員に出すほど恥ずかしくないという事です。ここも何とか絞り出します。推薦してくれる先生が見えるエピソードなんか入れてしまったりしました。もう自分に推薦できる引き出しが限界です。就活でも苦労しましたが、そこまでアピールできるような人間ではないです、もちろん凡才なので。
研究概要
これは皆さん得意ですよね。私からの経験談をお伝えする必要も無いかと思います。様式にもありますように、「(1)背景や研究動機、(2)研究の進め方、(3)研究内容、(4)研究の独創性とインパクト、(5)その他(研究活動上での困難(経済的なもの、研究施設が十分でない等を含む)やその対応等)を記載してください。」とのことです。
(5)のその他が困る所ですよね。育志賞の特性上、私はこんなに苦労して実験してますよ!とアピールできる事を書きましょう。特に経済的な物があれば強いのでしょうが、そもそも経済的に厳しい人生は歩みたくないものです。ホントに厳しい人が博士課程に進学するでしょうか?なんだか社会の矛盾も感じながら書きましたが、アピールポイントは人によって異なるかと思います。
・5月下旬
これらの書類を書き上げて5月下旬に大学を通して提出しました。書類を提出しますと、その後のスケジュールについて案内されます。書類審査ののち、面接審査があるそうです。私の場合は10月下旬ごろに面接になるかどうかの発表がありますと連絡を頂きました。
もし面接になった場合は11月中旬から下旬にかけて、面接の候補日を3日決められます。なのでその3日の予定は面接するかもしれないので、空けておいてくださいとの事です。そんな先の予定を3日も空けろと言われても中々困ります。まあ、面接が決定したわけでないので普通に過ごすかぁくらいの意気込みです。この面接を勝ち抜いた優秀な学生のみ、次の年の2月後半か3月上旬の授賞式に呼ばれるという訳です。残念ながら面接にも呼ばれず、落ちたという連絡も長い間いただけませんでした。よくあるサイレントお祈りかと思っています。
終わりに
育志賞の説明だけで随分長くなってしまいましたので、いったんこちらで区切りたいと思います。また募集期間終了後までには育志賞第2弾について記事を公開できればと考えています。落ちたのが悔しいので育志賞について丸裸にして、今後このブログをご覧になった方が育志賞を攻略していただけるように頑張りたいと思います。希望はかなり薄いように思いますが、応募するのはタダですので「育志賞」皆さん応募してみるのはいかがでしょうか?
本日も最後まで読んでいただきありがとうございます。皆さんの参考にしていただければ幸いです
*Tips(余談?)
皆さんがご存じか分かりませんが、芸能人で社会学者でもある古市 憲寿さんも育志賞を受賞されています。2014年に東京大学からの推薦を頂いて受賞したようです。私自身は古市さんのストレートな発言に尊敬しています。育志賞を受賞するのも何となく納得できますし、私と違って凡才ではない方が受賞すべきであると考えています。
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