こんにちは、年度末になり研究員業務が忙しくなってきました、凡才博士です。私はアカデミックの道を選んだわけではないので、日頃はサラリーマン研究員です。
それはさておき、今回は学振合格後の科研費申請について体験談を元に紹介します。特に気になる部分は科研費の特別枠についてなのではないでしょうか?
科研費の申請は、特別研究員が始まる前の2月あたりで申請するかと思います。その後の3月・4月の提出書類については、下記の記事を参考にしていただければと思います。
(特別研究員)研究計画調書
学振を通った方は「(特別研究員)研究計画調書」の提出をまず求められます。この書類は入力がポータル経由となっていますね。こちらはどういった書類かと言いますと、「私の科研費は〇〇万円欲しいです」と学振に意思表明するための申請書です。あくまで意思表明ですので、実際に申請した額からは減額されて最終的な研究費としていただけます。
重要な事なので結論から申し上げますと、
科研費の申請は特別枠を使ってMAXの150万まで申請しましょう!
私も最初は「特別枠にしたら書く内容増えてめんどくさいじゃん!」「特別に増額するなんで恐れ多い!」なんて思ってました。しかし、数行の申請書を書くだけで研究費が何十万か増えるなんて良い事です!自分の経歴の実績にも少しプラスになりますし。(やはり科研費は額が重要ですよね。)何となく自分の研究に100万以上付いたら格好いい感じするじゃないですか?
そしてまた大事なことをここで一つ、
特別枠を使ってMAXの150万まで申請しても、必ず減額されます!
これまで減額されなかった人を見た事ありません。もし結果が出て減額されてもがっかりしないでOKです。(しかし100万以下になってたら少しがっかりですかね…)私も150万で申請して最終的には学振から120万でお願いします!と書類が来ました。
感覚的には特別枠で申請した額の0.6~0.8割かけた額に落ち着くと思います。
もしMAX申請してMAX額が付いたら、その方はスーパー実験マンです。学生のうちからそこまで科研費に信用されるなんてものすごい事です。実際はそんな方の申請方法を紹介した方が皆さんのためになるかと思いますが、そんな知り合いがいませんので私のへっぽこ申請書を例に紹介させて頂きたいと思います。
研究目的
科研費の申請内容は字数がそこまで多くないのですが、ポータルに直接入力すると作業しにくいのでWordファイルにて申請内容を書いておくことをお勧めします。
正直、研究目的は学振が通った方なら400字なんて足りない!と感じるかと思います。注意点としては私の時は「改行は1回まで可」の謎ルールがありました。私の場合2つの化学反応に対して研究していたので、最初から研究内容が2つあったため、そこで1回の改行を消費せざる得なかったです。
「※何をどこまで明らかにしようとするかがわかるように焦点を絞り、具体的に記述してください。」とありますので、申請書の重要なエッセンスのみギュッと詰め込んだ形で書きます。
〇〇と△△を変化させ××測定を行い、〇〇に対する□□の効果を明らかにする。さらに◇◇を測定し〇〇を観測する。~~~・・・・のような形で、淡々と描いていきます。
研究経費の使用内訳
続いては研究計画を進めていきたいところですが、「申請書記載の研究計画を、年度ごとに研究経費(主要設備及び主要な経費)との関連も含めて記述してください。」と単純にやりたい研究を年度ごとに書くだけではだめという事ですよね。あくまで研究経費との関連を一緒に示さないと、研究費が必要と判断されなくて減額される感じでしょうか?
研究計画を色々と書く前にまずは必要な物品を洗い出してみましょう。私が実際に申請した研究経費の使用内訳は以下のようになります。
設備備品費:0円
正直、100万ちょっとでは研究設備買えない事が多いですよね。科研費で購入した設備は自分が移動できる際に持っていけますが、手続きもめんどくさいですし、アカデミックに異動するの前提ですから。なんだか設備を購入するのも無駄な気がしたので、必要な消耗品とか、自分の経験やスキルアップ出来る事に使用するため、設備は現状あるもので何とかしていました。(資金潤沢なラッキー研究室だからですかね?)
消耗品費:40万
内訳としては実験用試薬・データ解析(日々の研究用兼用)薄型PC・ソフトウェアのような感じでした。内訳は細かく書くほどリアリティが出て信頼感が出る気がしますね。特に出張にも使える薄型PCを購入できたのは良い買い物でしたね。PCは完全な自分のデスク用PCは認められない可能性が高いので、あくまでデータ解析用PCとか測定機器操作用とか理由をつけるとなお良いですね。
旅費:80万
科研費によって旅費が自由に使えるのが一番大きいですよね。特にちょっとしたポスター発表でも堂々と海外へ行けるのがかなりのメリットであり、自分の経験を広げる良いチャンスでもあります。また国内学会も発表せずに聴講だけでも参加できますからね。私は設備は購入せず、なるべく自分の経験に将来への投資として研究経費を使うことをお勧めします。形には残らなくとも、記憶には残る使い方ですよね。行くか行かないか分からない学会でも、こちらはあくまで予定ですので好きなだけ詰め込んでみましょう!書く際には〇〇学会と学会名を明確に書いておくのが良いです。行くか行かないかはその時の結果次第で決めましょう。
人件費・謝金:0円
理系ではあまり人件費・謝金を申請する方がいないような勝手なイメージです。私の場合はアンケートとか、他の人を使って実験するような研究は行いませんので単純に申請していません。感覚的には教授に反対されるようなアンケートとか実験とかをしたい場合は申請して勝手にやるのが良いと思います。自分の科研費なので自分の実験に使用していいはずですよね。
その他:30万
正直いきなり1年間の研究費を出せって言われて困ったので、とりあえずMAXの150万に届くように調整できるのがこの「その他」の欄です。何に使うか分かりませんが、私の場合「学術論文の投稿料」として30万円申請しました。投稿先までは明記しておりません。金額もまぁだいたいこんな感じかなぁというような金額で申請しました。
上記のような内訳でざっくりとした中身を決めて150万円の申請書を作成しました。あとDC2を取って、でも2年目は卒業してしまうって方も、2年目もしっかり研究を継続するような内容で書きましょう。学会参加の旅費等で良い感じに金額を積み重ねていきましょう。
研究計画
研究経費の中身を決定したら、ようやくそれに合わせて研究計画をつらつらと書いていきます。ポイントは先ほども言いましたが「申請書記載の研究計画を、年度ごとに研究経費(主要設備及び主要な経費)との関連も含めて記述してください。」との事です。研究経費との関連を一緒に示しながら、さらに研究計画も書いてほしいという事です。
中々細かいところまで公開することはできませんが、大体こんな感じの例として私の申請した内容と研究経費の関連付け方法を紹介したいと思います。何かの参考になれれば幸いです。以下、私の1年目の大体の申請内容です。
〇〇と××の関係および△による効果を明らかにする。〇〇を変化させ、◆◆の実験設備で◎◎測定を行う。申請している○○試薬やデータ解析用PC、ソフトウェアはこれらの研究に必須の経費である。また、〇〇実験には国内の~~の施設で行うため国内旅費を計上している。また得られた××は国内および国際学会で発表し、学術誌に投稿して情報を発信するための費用も計上している。これらにより、英語でのコミュニケーション能力向上と、国際的に広い視野を有し、社会や産業の急速な変化にも対応可能なグローバルに活躍する能力を向上させる。
上記のような感じで、400字ほどで「なぜこの研究経費が必要か?」という理由を書いていきます。研究計画はあくまで計画ですので、とりあえずやってもやらなくても大丈夫です。2年目も同様の勢いで経費と関連付けて書いていってください。(DC2で途中で辞退する方も2年目の計画もしっかり書いておきましょう!)
特別枠の応募をする場合の理由
最後に特別枠を申請する理由を書きましょう!とは言え正直何を書いていいか悩みますよね。個人的な感想としては
- 自分の研究がどれだけ特別で、社会の役に立つか主張する
- 実験経費がかさむ必然的な理由を明示する
- お金をつけてもらえた時の意気込み
このくらいを盛り込めばいいのではと考えています。実際に私が申請した内容としては下記のような感じです。
〇〇は××に用いられている物であり、本研究によって~~を明らかにすることで次世代の〇〇開発に大きく貢献できる。この研究には、〇〇の実験が必要不可欠であり、そのための国内旅費や消耗品費が必要である。また研究に用いる△△を新規開発するため、◆◆の設備備品費が必要である。××研究費によって得られた研究成果は、国内および国際学会で発表し、国際学術誌に投稿して情報を広く発信する責務がある。それにより、英語でのコミュニケーション能力や幅広い視野を有し、社会や産業の急速な変化にも対応する能力を向上させて、国際的に活躍して本支援に応えたい。
なんか文章だけ見ますとかなりやる気高い(意識高い)学生ですよね!私はこのような形で特別枠をMAXの150万で申請し最終的には120万に決定しました。Wordで上記のような文章を構成して、あとはポータルへそのままコピペです。
Tipsとまとめ
*Tips
科研費の使用内訳はあくまで計画ですので、実際に忠実に守る必要は全くありません。例えば消耗品50%・旅費50%で申請していても、実際は旅費80%とか使っても特に問題ないです。計画なので研究の進捗によって使う経費は変わってくることは当たり前ですね。しかし研究設備だけは金額もあるので、最初から特に使う理由もなかった設備を導入するのは少しハードルが高いです。特に最終年度の後期に研究設備の導入は避けてください。もう研究が終わるのにどうして設備を買うんだ?という事になりかねません。このような事以外は、研究や自分の人生に有効になるように研究費を使いましょう!
それでは、最後にまとめさせていただきます。
科研費の特別枠もMAX(150万)まで申請しよう!
これに尽きます。申請書がめんどくさい場合もとりあえずMAXまで申請するようにすれば、ラッキーパンチで研究費が付くかもしれません。潤沢な研究資金を手に入れて、貧乏博士学生はせめて研究だけでもリッチに行いましょう!最後まで読んでいただきありがとうございます。何か皆さんの参考にしていただければ幸いです。
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